超伝導状態における集団励起:振幅(ヒッグス)モード

by 平島 大 先生(国際基督教大学)
量子多粒子系の励起は、個別励起と集団励起に大別される。超伝導状態においては、秩序変数が複素数であることに伴い、位相自由度に対応するギャップレスモードと、振幅の自由度に対応するギャップをもつ励起が生じる。ギャップレス励起は縦波の電荷密度励起と結合して、ギャップ(質量)を獲得する。このメカニズムは、標準模型におけるヒッグス機構と同等であり、振幅モードがヒッグス粒子に対応する。最近、島野らがテラヘルツ光を強く超伝導体に照射することによって振幅モードの観測に成功し、興味を集めている。講演では、さまざまな量子多体系における集団励起について触れ、最近の超伝導振幅モードに関する私の研究にも触れる。