2状態系とブロッホ球とポアンカレ球とベリー位相と光渦

by 宮丸 文章
電磁波の振る舞いを扱う上で,量子-古典対応を常に意識することは興味深いことです。同じ波動である限り,量子系と古典系の類似点を見出すことは,その波動現象の本質を抽出することに結びつきます(逆に相違点を意識することもまた,本質の抽出に結びつきます)。本質を抽出することによって,ある分野で発展している概念や手法を,別の分野に適用することにより新たな可能性が広がることがよくあります。
本コロキウムでは,簡単な例として2状態系を取り上げます。光学の教科書ではよく出てくるポアンカレ球と量子力学の教科書ではあまり出てこないブロッホ球を紹介します。古典論においてポアンカレ球は電磁波の偏光状態を記述するときに出てきます。量子論においてブロッホ球はスピン状態を表すときに出てきます。
また,幾何学的な球面で表される事実と深く関連しているベリー位相について,離散的な状態変化の場合を例に取り上げて説明します。ベリー位相は量子論における断熱変化のストーリーで説明されることが多いですが,古典系の対応物としての偏光と,それを用いた光渦の生成(以前に中田先生が研究していたもの)を紹介します。ここでも量子-古典対応を見ます。

対象:量子-古典対応などに興味のある人

事前に知っておくべき知識:偏光の重ね合わせ(これを前提に量子-古典対応を考えますので,知らないと理解できません),ブラケットとケットブラ

参考文献:「量子力学の基礎」,北野正雄著 ISBN:978-4-320-03462-4