超短パルスレーザーによる金属電子の電界放出とテラヘルツ波発生

by 髙野 恵介
レーザー光が誘起する物質の非線形な応答によって光の周波数変換が可能である。金属ナノ構造に超短パルスレーザー光を照射すると、周波数の低いテラヘルツ波パルスが発生する。発生機構は未だ明確に説明されていないが、フォノン吸収の不在による広帯域性と、人工的なナノ構造制御による効率向上や機能設計の可能性がある[1]。我々は、テラヘルツ波パルスが、レーザーによる金属中電子のトンネル放出電流によって生じていることを示唆する実験結果を得た。研究背景、電子の電界放出を表すFowler-Nordheimの式[2,3]による我々の実験結果の説明と、関連研究を紹介する。

対象:誰でも。

キーワード・必要な予備知識:レーザー。金属。

参考文献:
[1] レビュー論文, G. Ramanandan, et al, J. Phys. D 47, 374003 (2014).
[2] F. Bunkin and M. Fedorov, Sov. Phys. JETP 21, 896(1965).
[3] 石川順三, 荷電粒子ビーム工学, コロナ社(2001).