by 中島 美帆
セリウム(Ce)などを含む希土類化合物の中の希土類元素は、ほとんどが3価を安定な価数とするが、ユーロピウム(Eu)化合物においては、2価が安定となるものが多い。しかし、いくつかのEu化合物において、圧力や温度によってEu2+からEu3+へ価数転移することが報告されている。Euは、2価と3価の電子状態のエネルギー差が小さいために、これらの化合物で温度・磁場・圧力などのパラメーターの操作により価数転移させることが可能であると考えられる。私たちが注目したEu化合物であるEu2Ni3Ge5は、圧力下で価数転移とみられる異常を示し、Ce化合物で見られる重い電子状態と似た振る舞いをする。このような例はこれまで報告がない。これらの結果を紹介する。