物質の電磁場応答のための動的電流密度汎関数理論

by 樋口 雅彦
物質の電磁場応答(光学応答)を記述するには、
(1) 電荷密度と電流密度が与えられたとき電磁場がどのように決定されるか。
(2) 電磁場が与えられたとき、電荷密度や電流密度の時空間分布がどう決まるか。
という2つの課題がある。(1)に関しては(微視的)マクスウェル方程式、(2)に関しては素朴な古典的現象論であるローレンツ模型が有効であることが広く知られている。
我々は最近、(2)を記述する理論として古典論に代わる「動的電流密度汎関数理論」を提案した。ローレンツ模型における抵抗項は、電磁波の応答の時間遅れを記述する上で不可欠であるが、それを動的電流密度汎関数理論では非エルミートハミルトニアンの形でに取り込む。本理論の有効性をローレンツ模型との比較を通して議論をする。

キーワード:マクスウェル方程式、ローレンツ模型、動的密度汎関数理論、密度行列、非エルミート、二準位系

想定する聴衆:理論の細部にはあまり立ち入らず、どんな戦略で電磁場応答をとらえようとしているのかを説明したいと思います。上記キーワードは説明しながら進めたいと思います。