液液相転移

by 志水 久
物体は一般に、気相, 液相, 固相の3つの相を持ちますが、水のように液相を2つ持つ物質が報告されています。液相を2つ持つ物質の多くは、2つの液相の臨界点が過冷却領域にあるため、通常、液-液転移を観測することはできませんが、水については、その特異な性質について液-液転移と関連付けた解釈がされています。計算機シミュレーションで相転移を扱うには、転移を特徴づけるオーダーパラメータの変化に着目し、通常、内部エネルギーや比熱が選ばれます。オーダーパラメータにはエントロピーを選ぶこともできますが、通常のシミュレーションではエントロピーが計算できないため、エントロピーが用いられることはほとんどありません。Soft-Coreポテンシャル系の相転移がエントロピーを用いてどのように解釈できるかを説明し、それを液-液相転移の解釈にどのように適用するかをお話しします。