テラヘルツ領域のメタマテリアル

by 髙野 恵介
メタマテリアルは、波長に比べて微小な構造によって電磁応答を制御した人工媒質のことを指す。元々の材料の特性に加え、材料だけでは実現できない電磁応答の設計も可能になる。負の屈折率や透明マントなどが、メタマテリアルで実現される新たな電磁応答の象徴的な例としてあげられる。2000年代初頭のメタマテリアルの概念の提案と実証によって、広い周波数の電磁波・光に対して自由度の高い電磁応答の設計が期待できるようになった。周波数が0.1-10 THz程度のテラヘルツ領域の電磁波は、光源・検出器の開発によって近い将来の本格的な利用が見込まれ、メタマテリアルのデバイス応用が期待されている。テラヘルツ領域に特徴的なメタマテリアル応用と、その作製、評価例を述べる。また最近の話題として、メタマテリアルの光に対する非線形性を利用したテラヘルツ波の発生や、構造とテラヘルツ波の相互作用で生じる微小構造変化について紹介する。