by 草部 浩一 先生 阪大基礎工
短距離型斥力項を含む有効多電子模型の導出を第一原理的方法論によって可能に出来るか否かについて議論を行う。密度汎関数法においてコーン・シャム方程式の自然な拡張として運動エネルギー汎関数に加えて局所基底上の密度・密度相関関数を導入したエネルギー汎関数を用いると、自然に有効多電子模型が発生する。この有効模型は、密度汎関数法として一電子密度を再現するものになっているが、クーロン多体系の示す軌道上のクーロン相関を再現することを併せて要求することが可能である。ただし、再現が不可能である可能性もある。まず、再現が可能であるとした場合に、得られる有効模型が一意的に定まることを不純物問題に関して証明する。再現が困難になる場合に生じていると考えられる有効模型における擬似的相転移の存在を議論した後に、この模型の存在条件を与える。コロキウムでは、最近行われている通常の密度汎関数法に基づく第一原理電子状態計算による物質設計の例を比較しながら議論を行う。