by 松尾 貞茂 先生(東大工)
1次元電子系である半導体量子細線では、伝導度が2e2/h(量子化伝導度)となり、実験的にはゲート電圧に対して伝導度が一定となるプラトー領域が量子化伝導度にあらわれる。しかし、近年InAsなどの半導体量子細線において0.5×2e2/hに伝導度プラトーがあらわれるという報告がなされた。この半整数量子化伝導度プラトーの起源はいまだ明らかではない。我々は最近この半整数量子化伝導度プラトーの観測に成功し、さらに、これまで明らかでなかった詳細な磁場依存性の測定に成功した。本講演では、これまでの量子細線における電子伝導の研究について半整数量子化伝導度プラトーを中心として概観したのち、我々の最近の研究結果を議論したい。