ソフトモード分光法による強誘電体構造相転移機構の解明

by 武田 三男 信州大学理学部物理科学科
LGO(リシウムヘプタジャーマネイト)の強誘電性相転移機構を赤外分光、ラマン散乱、中性子散乱等の分光学的手段により解明する。LGO単結晶 は、室温で構造相転移を起こし、転移点以下でc軸方向に自発分極が出現し、かつ強誘電性を示す。転移点近傍では、Γ点のフォノンのソフト化が赤外分光 およびラマン散乱により見出され、典型的な変位型構造相転移と思われた。ところが、秩序・無秩序型相転移特有の誘電臨界緩和が5GHz以上の高周波で確認 された。現在も、転移機構が「移行型」であるか「委譲型」であるかの解明が 課題となっている。LGOの強誘電体構造相転移について解説する。