遷移金属ホイスラー合金の磁性

by 鹿又 武 先生 東北学院大学工
ホイスラー合金は典型的秩序合金であり、X2YZの分子式で表される。現在、ホイスラー合金はスピントロ二クス材料、強磁性形状記憶合金、熱電材料として話題の物質群である。コロキュームではX2MnZ(X=3d,4d,5d 金属、Z=s, p 元素)合金とCo2YZ(Y=3d,4d,5d金属、Z=s, p 元素)合金に焦点を絞ってその磁気特性について報告する。バンド計算の結果によれば、X2MnZ合金のMn原子の3d電子状態はX原子との混成によって非局在化されており、X2MnZ合金のMn磁気モーメントの局在的性質は、Mn3d殻からの、少数スピンの排除の結果として現れている。コロキュームではX2MnZ合金内の交換相互作用、特にX-X原子間、X-Mn原子間、Mn-Mn原子間の交換相互作用の最近の理論計算と実験結果を報告する。更に、上記原子間に働く交換相互作用の圧力依存性の最近の理論計算の結果と磁気転移温度の圧力効果の実験結果を比較、検討する。
Co2YZ合金は遍歴電子型強磁性体で、スピンのゆらぎの効果がその磁気特性に重要な役割をはたすことが知られている。最近の我々によるこれら合金の磁気体積効果の研究成果を報告する予定である。