テラヘルツ振動分光で見るソフトマテリアルの構造


by 保科 宏道 先生(理研)
テラヘルツスペクトルには,高分子の高次構造や分子間相互作用を反映した低周波数 振動ピークが観測される.従来,これらの吸収ピークは多様な物理的起源によるため 解釈が難しく,スペクトルの普遍的解析法が確立していなかった.本研究では,ポリ ヒドロキシ酪酸やナイロンなどの高分子のテラヘルツスペクトルを測定し,吸収の偏 光依存性や赤外ラマン活性,量子化学計算によって振動モードのアサイメントに成功 した.また,テラヘルツスペクトルから高分子の構造相転移における水素結合の変化 など,これまで観測が難しかった情報が得られることがわかった.さらに,低分子ゲ ルなどでも,ゲル化剤のネットワーク構造やゾルゲル転移点での水素結合の変化など が観測されており,ソフトマテリアルを理解する際の新しいツールとしてテラヘルツ 分光の可能性が示された.